top of page

裏面の「夏秋草図」はどのようにみえる?

酒井抱一の「夏秋草図屏風」は尾形光琳の「風神雷神図」の裏面に描かれていました。表面の金地に対して銀地とし、モチーフも風神の裏面には強風にあおられる秋草と舞い上がる蔦の紅葉(向かって左隻)と雷神の裏面には夕立に打ちしだれる夏草と流水を描いています。ちょうど、左隻の左上から右隻の右下へ対角線を描くような構図となっています。このように綿密に計算していた抱一ですから、二曲屏風の真ん中が山折りになった裏面としての見え方にも、十分配慮して描いたはずです。では一体、現在の仕立てである谷折り(以下「現状」)と元々の山折り(以下「復元」)とはどのように見え方が違うのでしょう?

上は、「現状」の状態です。左隻左端の蔦と右隻右端の草の葉と流水が手前に向かってきており、この部分がすこし大きくすぎるように感じます。

下は、本来の姿である「復元」です。蔦と草の葉・流水は、それぞれ奥の方に延びていくように感じられます。「現状」にくらべ、この部分はちょうどバランスがとれているように感じませんか?大きさ的にも奥行き感としても、やはり当初のこの形が抱一の計算していた構図であることが納得できます。ぜひ、本来の姿に戻った原寸の複製を鑑賞していただき、皆様にもそれを実感していただきたいと思います。

特集記事
最新記事
タグ検索
まだタグはありません。
ソーシャル
  • Facebook Classic
  • Twitter Classic
bottom of page